映画『パリで一緒に』―華やかなパリと、オードリー・ヘプバーンの魅力に包まれるユーモアたっぷりの恋愛喜劇
1964年に公開されたアメリカ映画『パリで一緒に』(原題:Paris When It Sizzles)は、オードリー・ヘプバーンとウィリアム・ホールデンが共演したラブコメディ。
魅力あふれるパリの街を舞台に、脚本家と秘書が繰り広げる創作と恋のドタバタ劇は、洒脱でメタフィクション的な展開が楽しめる異色作です。
作品情報:
『パリで一緒に』(原題:Paris When It Sizzles)(1964年公開)
出演:オードリー・ヘプバーン、ウィリアム・ホールデン/監督: リチャード・クワイン
あらすじ
物語の舞台は花の都パリ。脚本家リチャード・ベンソン(ウィリアム・ホールデン)は、納期目前の映画脚本がまったく書けていないにもかかわらず、遊び呆けてばかり。プロデューサーからは厳しい通告を受け、もはや待ったなしの状態に。
そこで雇われたのが、秘書のガブリエル・シンプソン(オードリー・ヘプバーン)。几帳面で知的なガブリエルは、リチャードの妄想のようなアイデアを一つひとつ整理しながら、ストーリーの形にまとめていく。リチャードの頭の中では、様々なジャンル──スパイ、サスペンス、メロドラマ、ホラー──が入り乱れ、次々と奇想天外なシーンが生まれていく。
創作の中で二人は物語の主人公として“演じる”ことになり、脚本というフィクションと現実の境界線があいまいに。
次第にリチャードとガブリエルの間には、プロフェッショナルな関係を超えた感情が芽生えていく。
見どころ
『パリで一緒に』は、パリと映画を愛する人に贈る、ウィットと遊び心の詰まった一本です。
脚本家の創作過程をコメディとして描きながら、映画制作の“内側”を茶化すようなメタ的な視点がユニークな作品です。リチャードの妄想に登場するキャラクターたちを、オードリー・ヘプバーンとウィリアム・ホールデンが演じ分けるスタイルは、まさに“映画の中の映画”。
加えて、舞台となるパリの風景が本作の魅力をいっそう引き立てます。セーヌ川、モンマルトル、パリのアパルトマン…ロマンティックなシチュエーションの中で、繰り広げられる軽妙なやりとりは、観る者に旅のような楽しさを届けてくれます。
コメディ要素もたっぷりで、言葉遊びやジャンルパロディが随所に織り込まれており、映画好きなら思わずクスリと笑ってしまうシーンが満載です。
オードリー・ヘプバーンの役柄
オードリー・ヘプバーンが演じるのは、秘書のガブリエル・シンプソン。リチャードの暴走する創作活動に巻き込まれつつも、冷静に補佐し、的確に助言を与える存在です。
しっかり者の秘書から、変幻自在なミューズへ。劇中ではリチャードの妄想世界に登場するヒロイン役もこなしており、ある時はスパイ、ある時は謎めいた美女、またある時は悲劇のヒロインと、七変化のごとくさまざまなキャラクターを演じ分けます。
オードリー・ヘプバーンのコメディセンスが存分に発揮されており、『ローマの休日』や『シャレード』のようなクラシックな美しさとは異なる、茶目っ気のあるチャーミングな魅力が光ります。
オードリー・ヘプバーンの衣装
本作でも衣装を手がけたのは、オードリー・ヘプバーンの親友であり専属デザイナーとも言えるユベール・ド・ジバンシィ。
『パリで一緒に』では、実に30着以上の異なる衣装を披露し、さながら遊び心あふれるファッションショーのような華やかさ。
ガブリエルとして登場する際の知的でシンプルなスカート・スーツや、脚本内でのシーンに合わせたプリーツスカート、カーディガン、帽子、鞄、カジュアルなスタイルまで、オードリー・ヘプバーンが多彩なファッションを見せてくれます。
特に注目すべきは、オードリー・ヘプバーンの洗練された美しさを最大限に引き出すシルエットやカラー選び。プレーンなデザインでも、彼女が身にまとうとそれだけでスタイルが完成してしまうのが、まさに「ファッション・アイコン」たる所以です。
オードリー・ヘプバーンの見どころ
『パリで一緒に』におけるオードリー・ヘプバーンの最大の見どころは、何と言っても“遊び心”と“変幻自在”な魅力です。
一人の役にとどまらず、物語の展開に応じて様々なキャラクターを演じるという点で、女優としての多面性が存分に発揮されています。
また、ウィリアム・ホールデンとの再共演という点でも注目の作品。『麗しのサブリナ』(1954年)以来のコンビであり、二人が再びスクリーンで共演することで独特の空気感が生まれています。
ときに真面目に、ときに大胆に、そしてお茶目に。どんな状況でも品を失わないのがオードリー・ヘプバーンの魅力であり、本作はその魅力を堪能できる作品と言えるでしょう。
まとめ
『パリで一緒に』は、他のオードリー・ヘプバーン作品に比べると知名度はやや低いかもしれませんが、映画の楽しさとファッションの華やかさが凝縮された、知る人ぞ知る名作です。
創作の舞台裏をユーモラスに描いた本作は、映画愛に満ちた一本であり、オードリー・ヘプバーンのチャーミングな魅力が詰まっています。
パリの街、華やかな衣装、軽妙な会話劇──
休日に気軽に観られるロマンティック・コメディとして、また、オードリー・ヘプバーンの多彩な表情を味わいたい方にもおすすめの一本です。