映画『シャレード』―スリルとロマンス、そして洗練の香りに満ちたオードリー・ヘプバーン演じる大人のミステリー
1963年に公開されたアメリカ映画『シャレード』(原題:Charade)は、「ヒッチコックの監督していない最良のヒッチコック映画」とも称される名作です。主演はオードリー・ヘプバーンとケーリー・グラントという豪華な顔ぶれ。サスペンス、ラブロマンス、ユーモアが絶妙に絡み合ったストーリーに、観る者は最後まで引き込まれます。
作品情報:
『シャレード』(原題:Charade)(1963年公開)
出演:ケーリー・グラント、オードリー・ヘプバーン/監督: スタンリー・ドーネン
あらすじ
物語の舞台はパリ。主人公レジーナ・ランパート(オードリー・ヘプバーン)は、スキー旅行先で夫との離婚を決意するが、パリに戻ると衝撃の事実を知る。なんと夫チャールズが殺害され、彼の遺産25万ドルの行方が分からなくなっていたのだ。
葬儀の場に現れた謎の男たち、CIAのハミルトン・バーソロミュー(ウォルター・マッソー)による警告、そして、レジーナの前に現れた魅力的だが正体不明の男性ピーター・ジョシュア(ケーリー・グラント)。彼は味方なのか、それとも…?
レジーナは、夫が遺した秘密の正体と、次々と変わる人物の正体に翻弄されながらも、真実に近づいていく――。
見どころ
1. ミステリーとユーモアが絶妙に融合
『シャレード』は、サスペンス映画でありながらユーモアが随所に散りばめられており、観ていて緊張感と笑いが交互に訪れるバランスの良い作品です。殺人、財宝、偽名、スパイといった要素が次々と展開しながらも、観客がついていけるテンポと明快な構成で魅了します。
特に終盤で明かされる「シャレード」の正体や、誰が味方で誰が敵かという謎解きは、推理好きの視聴者にも満足度の高い展開になっています。
2. パリの街並みを生かした美しい映像
パリを舞台にした本作は、エッフェル塔やセーヌ川沿い、マルシェ、アパルトマン、劇場など、美しいロケーションがふんだんに使われています。物語の進行とともに移り変わるパリの風景は、まるで旅をしているような感覚を味わわせてくれます。
その一方で、緊迫感のあるシーンでもパリの情緒が絶妙に使われており、「華やかで危険な都市」というイメージが存分に描かれています。
オードリー・ヘプバーンの役柄
オードリー・ヘプバーンが演じるレジーナ・ランパートは、最初は何も知らない“普通の女性”ですが、夫の死とその裏にある陰謀を追ううちに、徐々に強さと判断力を身につけていく現代的なヒロインです。
オードリー・ヘプバーンはこの役で、可憐さ、知性、ユーモア、そして恐怖に耐える芯の強さをバランスよく演じ分けており、彼女の女優としての成熟を感じさせます。ケーリー・グラントとのやりとりはテンポが良く、時に恋愛、時に疑念といった感情の揺らぎが絶妙に表現されています。
本作のレジーナは、「守られる女性」から「自分で考え、決断する女性」へと変わっていく存在。その成長を繊細に演じたオードリー・ヘプバーンの魅力は、何度観ても色あせることがありません。
オードリー・ヘプバーンの衣装
『シャレード』は、オードリー・ヘプバーンのファッション映画としても非常に評価の高い作品です。衣装を担当したのは、彼女の親友でもあったフランスのデザイナー、ユベール・ド・ジバンシィ。
作中では、クラシカルかつ洗練されたスーツやワンピース、シンプルなコート、帽子、手袋といったアイテムが次々と登場し、どれもパリの街並みによく映えています。
また、ジバンシィ特有のモダンで直線的なシルエットは、レジーナの知的で自立した女性像と見事に調和しています。
どの衣装も上品で無駄がなく、それでいて遊び心があり、まさに“着ることでキャラクターを語る”ファッションが成立しています。彼女の衣装は、スクリーンを超えてファッションアイコンとして語り継がれてきた理由の一つです。
オードリー・ヘプバーンの見どころ
『シャレード』におけるオードリー・ヘプバーンの見どころは、以下のような点に集約されます。
1. 感情の揺れを丁寧に演じた芝居
疑念、不安、恋心、恐怖――目まぐるしく変化する状況の中で、微細な表情の変化で観客にその心情を伝えるオードリー・ヘプバーンの演技力は圧巻です。
2. ケーリー・グラントとの軽妙なやりとり
年齢差のあるグラントとの恋模様は、甘くなりすぎず、ウィットに富んでいます。二人のやり取りは洗練されていて、お互いの知性とユーモアが火花を散らすよう。
3. ファッションと共に輝く存在感
どのシーンでも一貫してスタイリッシュでありながら、派手すぎず自然体で品がある。その佇まいは、彼女の内面と衣装が見事に融合していることを証明しています。
まとめ
『シャレード』は、スリリングな展開とロマンチックなやり取り、洗練された映像美とファッションが絶妙に溶け合った、まさに“大人のためのミステリー映画”です。
そしてこの作品は、オードリー・ヘプバーンの女優としての魅力を余すところなく味わえる一本でもあります。初々しさと成熟の間に立ち、強さと優しさを同時にまとったヒロイン像は、今なお多くの人の心に残っています。
まだ観ていない方はもちろん、すでに観たことがある方も、ぜひ再び『シャレード』の世界に浸ってみてください。美しく、スリリングで、ユーモラスな時間がきっとあなたを待っています。