映画『戦争と平和』―オードリー・ヘプバーンが魅せる壮大な歴史絵巻
1956年に公開された映画『戦争と平和』(原題:War and Peace)は、ロシアの文豪トルストイの長編小説を原作とした歴史ドラマです。監督はキング・ヴィダー、アメリカとイタリアの合作として製作され、壮大なスケールと豪華なキャストで話題を呼びました。オードリー・ヘプバーンをはじめ、ヘンリー・フォンダやメル・ファーラーなどが出演し、ナポレオン戦争時代のロシア貴族社会を舞台に、戦争と恋愛、家族の物語が織りなされます。
作品情報:
『戦争と平和』(原題:War and Peace)(1956年公開)
出演:オードリー・ヘプバーン、ヘンリー・フォンダ、メル・ファーラー/監督:キング・ヴィダー
あらすじ
物語は1805年のロシア。貴族社会に生きるナターシャ・ロストワ(オードリー・ヘプバーン)は、まだ世間知らずの少女ながら、その美しさと純粋さで人々を魅了しています。ナターシャはさまざまな恋を経験しながら、戦争の影に翻弄され、成長していきます。一方、理想主義者のピエール(ヘンリー・フォンダ)や、軍人アンドレイ(メル・ファーラー)との関係が交錯し、愛と喪失の中で彼女は本当の意味での成熟を迎えていきます。戦争の残酷さと人間の強さを描いた壮大な叙事詩が展開されます。
見どころ
『戦争と平和』の最大の魅力は、原作の持つ重厚なテーマを、映画ならではのスケール感で描き切っている点です。大規模な戦闘シーン、宮廷の舞踏会、貴族たちのドラマなど、映像美と緻密な演出が光ります。特にロケ撮影によって再現された19世紀のロシアの情景や、当時の衣装や建築物の細部にまでこだわった美術セットは、観る者をその時代へと引き込みます。
オードリー・ヘプバーンの役柄
オードリー・ヘプバーンが演じるナターシャは、物語の中心となるヒロインです。無垢な少女から、愛と苦悩を知る大人の女性へと成長していく姿を、繊細かつ力強い演技で表現しています。ナターシャというキャラクターは、愛に翻弄されながらも自分を見つめ直し、運命を受け入れて生き抜く女性。その複雑な心情を、オードリー・ヘプバーンはまるで絵画のように美しく、時には儚げに演じています。
なお、この映画でナターシャの恋人アンドレイを演じたメル・ファーラーは、当時オードリー・ヘプバーンの夫であり、二人は1954年に結婚しています。共演によってその絆はさらに深まり、映画にリアルな情感を与えています。
また、オードリー・ヘプバーンは戦争映画に出演することにあまり積極的ではなかったと言われていますが、本作への出演を決めた背景には、トルストイの原作に対する敬意、そして夫であるメル・ファーラーとの共演ができるという点があったとされています。彼女にとってナターシャという役柄は、自らの内面を重ねられる魅力的な挑戦でもあったのです。
オードリー・ヘプバーンの衣装
この映画でのオードリー・ヘプバーンの衣装は、19世紀初頭のロシア貴族社会を忠実に再現したエンパイア・スタイルのドレスが中心です。高いウエストライン、軽やかな素材、繊細なレースや刺繍が施されたドレスは、彼女の華奢な体型と優雅な佇まいを引き立てています。また、舞踏会シーンでのティアラやジュエリーも豪華で、クラシカルなロマンティックさが際立ちます。衣装を手がけたのはオスカー受賞経験もあるデザイナーたちで、オードリー・ヘプバーンの持つ気品と見事に調和しています。
オードリー・ヘプバーンの見どころ
『戦争と平和』におけるヘプバーンの見どころは、やはりナターシャという複雑な役柄を彼女ならではの感性で演じ切った点にあります。恋に落ちたときのキラキラとした表情、裏切りに傷つく繊細な演技、そして再び立ち上がる芯の強さ――彼女の演技は、セリフ以上に多くのことを語りかけてきます。また、彼女が着るドレスと背景の絢爛な映像が重なり、まるで一枚の名画を観ているかのような美しさを放っています。
まとめ
『戦争と平和』は、文学的価値の高い原作をもとに、映像美と演技で新たな命を吹き込んだ歴史映画です。オードリー・ヘプバーンの魅力が存分に発揮されており、彼女のファンはもちろん、クラシック映画や歴史ドラマが好きな方にもぜひ観てほしい一本です。